「芝居はつまらない?」

 

 今年に入って早いものでもう5カ月が過ぎようとしています。この5カ月は例年に比べて多くの芝居を観ました。

2月 蜷川幸雄・演出 「ペリグリーズ」10,000円
3月 美輪明宏・演出 「黒蜥蜴」5,000円(定価10,500円)
4月 別役 実・作 俳優座プロデュース「むりがとおれば」2,600円
5月 新松戸物語第2回公演「オイディープス王」招待(1,000円)
5月 劇団演奏舞台 ひとり芝居「風鈴」 招待(3,000円)
5月 山の手事情社「トロイアの女」4,000円

  以上の6本の芝居を観たわけですが、この中で終演後拍手をしたのは、オイディープス王だけでした。僕は以前から、つまらないと思った時は断固として拍手をしない事にしています。唯一拍手をした オイディープス王も芝居に拍手というより、娘の高校の元演劇部の出演者に拍手をしただけで、芝居そのものは拍手する程ものではありませんでした。 新松戸物語はいわゆるアマチュア劇団ですからともかく、他の公演は料金をとってプロとして見せているわけですから、料金に見合うものを見せるのは当然のはずなのに、はっきり言ってタダでももう一度観たいと思う作品はありませんでした。しかも、高いものは一万円以上もするのです。これじゃ、誰も芝居を見なくなるわけです。これは一体どう言う事なんでしょうか?

 やっぱり芝居はこんなものなんでしょうか。 それとも僕の感性がおかしいのでしょうか、他の観客はこれらの芝居を楽しめているのでしょうか? この6本の芝居を観て、僕には何も伝わって来ませんでした。もちろんセリフの意味は分るのですが、それ以上の何も役者から伝わって来ないのです。 新聞や演劇雑誌でも批判的な劇評は皆無で、どの劇評も公演の宣伝の為としか思えないものばかりです。

 それでも、昔は「新劇」という演劇雑誌ではそれなりに辛口の批評があり、またそれに反論する演出家や作家がいました。表現者として、きちんとした批評をしてもらえない事はとても不幸な事だと思います。 皆さん、つまらない芝居に拍手するのはやめましょう。

 昔からこんな言葉が有るのをご存知ですか、 「役者殺すにゃ、刃物はいらぬ、うまい!うまい!とほめりゃ良い」 どうか、跛行舎の芝居もつまらなかったら拍手しないで下さい。まだ跛行舎の役者を殺したくないので。

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