夢はドリームなんてものじゃない

 

 どうしよう?!今朝見てしまった、セリフをまったく覚えてないのに、幕が開くって夢!

 出演することは、まあ普通に考えられている。でもいろんな準備が進みながら、私は気がつく。出て、何を喋るの?誰のセリフのあとに、何を言うの?台本は?台本はどこ?無い@

 劇場にはもうお客さんが入って満席で、芝居が始まるのを待っている。 私の役は、長ゼリフがある。1ページ、2ページ位喋るのである。それが何を言うのかさっぱり記憶がない。言葉ひとつ浮かんでこない。取っかかりが、何もなーい。こんな状態じゃ舞台に出て行けない。覚えた言葉がないのに、シャ、べ、レ、ナ、イ、ア、セ、ルー♀♀♀

 劇場の建物の壁を突き破って、大陸横断列車みたいな大きな汽車が、車輪の音を軋ませて、舞台にすべりこんで来た。すごい!ほんもの!舞台装置に、本物を入れてると、私は汽車を見上げて、実はワクワクした。

 が、ついに芝居は始まってしまったのだ.......

 どうしよう、私は、いつ、出るの??何をしゃべるの? ウ−エー、私は、どこ?必死、必死。

 夢だって気がつくまでの、目が覚めるまでのこのあせり。覚めてからのぐったり疲れる安堵感。一日を左右する苦い気分。日々の怠りの反省。外は雨。

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